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通信販売のクーラーの価格の提示は最初は高い方が売れ行きが良い?
連日、35度を上回るような猛暑日が続いていますが、皆様お元気でしょうか。
筆者は外へ出るたびに、汗が滝のように出てしまいます。
皆様熱中症には十分にお気を付けください。
今回は資産形成にも役立つ「かも」しれない参照点依存症のお話についてです。
参照点依存症とは行動経済学などで出てくる用語です。
簡単に言うと、その時の気分で物の価値観や判断基準、考え方が変わってしまうという、非合理的な行動の原因となるものではないか、というものです。
参照点依存症を上手に使ったテレビ通販の一例
さて先日とあるテレビ番組で、クーラーの通信販売を行っていました。
番組を何気なく見ていますと
「さあ、皆さん! こちらの最新型のクーラー、定価はいくらだと思いますか?」
と販売員の方が視聴者の方に問いかけます。
「はい! こちらはなんと設置費用込みで十万円なんです!」
販売員さんは自信たっぷりです。なにしろ最新型で高性能です。それが設置費用込みで十万円なのです。
しかし、視聴者としてはあまり安い気がしません。
「ふーん、十万円かー」
そんな気分です。
徐々に値下げすると、安い気がしてくる
「定価は十万円ですが、いまなら、サマーキャンペーンでなんと設置費用込みで、79,800円です!」
来ました。いきなり約二万円引きです。
最新のエアコンが二万円引きで買えるのですからうれしいです。十万円より二万円も安くなりました。
「でも、まだまだ高いなあ。あんまり安い気がしないよ」
そんな風に思う視聴者もいるかもしれません。
「さ・ら・に! いまだけ、古いエアコンの設置費用1万円を引きます! つまり設置費用込みで69,800円です!」
おっと、来ました。さらに一万円引きです。
「おっ、設置費用込みで69,800円ならずいぶん安いなあ、買おうかなあ」
と視聴者が思ったのなら、通販番組のスタッフの勝利です。
最初から69,800円では私たちは安いと感じにくい
ここで重要なのは、最初から69,800円ではいけない、ということです。
それだと安い感じがしません。売れ行きも随分、悪い方に変わってしまうでしょう。
十万円から始まることに意味があるのです。
なぜでしょうか? どうして最初から低い価格では安いと感じにくいのでしょうか?
その答えが「参照点依存症」です。
十万円が基準点となる
十万円から始めると、頭の中に基準点が生まれます。これが参照点です。
つまり、視聴者の頭の中では十万円がスタート地点になりました。
その後、段階的に低い価格を示したことによって、多くの人は
「十万円よりは安い」と感じます。
そのため69,800円を安いと強く感じます。
しかし、これが最初から69,800円を提示していると、どうなるでしょうか?
69,800円が基準点となるので、特段安いとは感じません。
同じ数字に対して異なる印象を抱いてしまうのですね。
資産運用でも参照点依存症が起こる
種が分かれば簡単ですが、私たちはしばしば陥ります。
そのため、同じ数字(例えば69,800円)に対しても「高い・安い・普通」という異なる印象を抱いてしまいがちです。
そしてこれは資産形成においても同様のことが起こりがちです。
資産形成では冷静に数字を判断することが重要ではないでしょうか。
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