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なぜ接点ポートフォリオはマーケット・ポートフォリオなのか?
こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
現代ポートフォリオ理論の中核を担う理論の一つに、CAPM(キャップエム:Capital Pricing Asset Model)があります。
このCAPMの命題では、接点ポートフォリオはマーケット・ポートフォリオである、ということになっているようです。
接点ポートフォリオとは、トービンの分離定理で出てくる、グラフ上の安全資産から伸びる一本の線の交わる・接する点(リスク資産のポートフォリオ)のことですね。
そしてCAPMの命題として、その接点ポートフォリオはマーケット・ポートフォリオである、というのです。
最近の馴染みのある言葉で言うと、マーケット・ポートフォリオとは市場平均ですね。
接点ポートフォリオでは何が起こっているのか?
仮に接点ポートフォリオがマーケット・ポートフォリオである場合、なにが起こっているのでしょうか?
それは「二基金分離定理がある以上、すべての投資家は安全資産と、接点ポートフォリオを購入する」だろうということ。
つまり、例えば預貯金と接点ポートフォリオを組み合わせたポートフォリオ形成するはず、ということですね。
もちろんこれは経済学上のお話。
現実のニンゲンは経済学上のニンゲンとは異なり、そんなこと知らないのが普通ですが。
話を戻しまして、すなわち、理論上では、すべての投資家はすべての証券を過不足なく需要と供給のバランスが合うはず、となります。
それがすなわちマーケット・ポートフォリオである、ということなのです。
だから、接点ポートフォリオはマーケット・ポートフォリオである、ということなのですね。
仮に接点ポートフォリオがマーケット・ポートフォリオでない場合はどうなる?
それではもし、仮に接点ポートフォリオがマーケット・ポートフォリオでないとしたら、どうなるでしょうか。
これはつまり、一番良い投資対象がマーケット・ポートフォリオでなく、それ以外にある、という状態です。
その場合は、「調整」が起こると考えられます。
どんな調整か?
それは、すべての投資家が「それ以外」の接点ポートフォリオを買いに走ります。だって一番良いのですから、当然ですね。
でもそうなると、先ほどまでの需要と供給のバランスが崩れます。
つまり、価格調整が起こります。
どこまで起こるのか?
それは、マーケット・ポートフォリオが接点ポートフォリオと等しくなるまで行われます。
結果として、接点ポートフォリオはマーケット・ポートフォリオである、と再びなると考えられます。
CAPMの命題:接点ポートフォリオとはマーケット・ポートフォリオである
このようなわけでCAPMの命題では、接点ポートフォリオとはマーケット・ポートフォリオとなるわけですね。
つまり、一番良い投資対象は、市場平均だよねー。というものに落ち着きます。
それではまた。