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効用とは精神的な価値観
こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
今日は効用について、少し独り言です。
効用とは、精神的な価値観・幸せ・満足度のようなものです。
経済学の世界では1円当たりの効用は、「その人がそれ以前に所有していた富や幸せの量と反比例する」と言われています。
どういうことでしょうか。
例えばダイエットです。
体重が60kgの方が3kg痩せるというのは、効用が高い、可能性があります。
一方で、体重が120kgの方が3kg痩せるというのは、効用が低いかもしれません。
もし上記二つの人が、同じ人間だとしたらもっとわかりやすいのではないでしょうか。
60kgの自分にとっては、3kgのダイエットは、「結構、効果があって、うれしい」と思うかもしれません。
しかし、体重が120kgの自分にとっての3kgの体重減は、「あまり効果がない、いま一つ」と思うかもしれません。
これは少し不思議です。
なぜなら、どちらの場合も、同じ3kgの体重減なのに、得られる「効用」が異なるからです。
体重が多い・豊かな方が、ダイエットの効用が小さい、のかもしれません。
体重が少ない・貧しい方が、ダイエットの効用が大きいのかもしれません。
また仮に、現在の体重が60kgの人が二人いても、その効用は異なります。
61kgから60kgになった
120kgから60kgになった
同じ60kgですが、明らかに両者の効用は異なります。
つまり、以前の体重の状態が効用に影響を及ぼすのですね。
ここで大切なのは、これがお金や幸せであっても、同様の影響を生むのではないか、ということです。
同じ1万円であっても、お金持ちの方が、幸せを感じません。
同じ1万円でも、貧しい方が、幸せを感じます。
つまり、お金で幸せなのは、お金持ちではなく、皮肉なことに、貧しい方になるのかもしれません。
幸せではどうでしょうか。
生まれつき恵まれている人が、少し幸せに出会ったとします。この場合は、あまり幸せを感じられません。
今度はそこそこ不幸な人が、少し幸せに出会ったとします。この場合は、とても幸せを感じられます。たぶん。もしかしたら。
(一般的に、極貧や極度の不幸な状態では、コルチゾールという物質が脳内に多くなり、幸せを感じにくくなったり、建設的な考え方ができなくなったり、短絡的な思考にいたり安くなったりすることが知られているので、極度に不幸な人には、少しの幸せでも大きな効用は得られないかもしれません。また、筆者にも極貧・極度に不幸の状態がありましたので、いまから思えば「なるほど確かに、少しの幸せで大きな幸せどころではなかった」と思うことがあります)
まあ、ここは人によりけりだと思いますが、同じような結果になる人が多いのかもしれません。
この場合も、幸せを感じやすいのは、幸せな人ではなく、そこそこ不幸な人かもしれません。
もう少し言えば、生まれつき苦労をせずに幸せな人(そんな人いないと思いますが)よりも、苦労をしてから幸せになった人の方が、より人生全体においては、幸せを感じやすいのかもしれません。
つまり、いまそこそこ不幸な人、幸せでない人の方が、大きな幸せに近いところにいるのかもしれませんね。
また、仮に100という幸せの数値があっても、ある人には100以上の幸せに感じます。
またある人にとっては100以下の幸せに感じます。
一人の人間にとっても異なります。
今日100の幸せで満足しています。
でも未来においては、100の幸せでも、満足したり、しなかったりします。
じつに人は不思議です。
それでは一体、人にとっての効用とは?
お金持ちとは? 幸せとは? いったい何なのでしょうか。
それではまた。