資産運用の勉強をしていると、自然と統計について学ぶこととなります。
その中で、組み合わせ爆発という言葉が出てきます。
これはどういった意味なのでしょうか。
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観測数を増やすと、ランダムウオークな株式などでも、組み合わせ爆発が起こり、リターンの分布が左右対称に近づく
こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
株式投資は、投資に興味がない、またはリスク許容度の低い、リスクが嫌いな人から見ると
「投資ってギャンブルでしょ!」
と取りつく島もありません。
しかし、世の中ではイデコやつみたてNISAといった資産形成を奨励する動きがあります。
何が投資で、なにがギャンブルなのでしょうか。
株式の動きはランダムウオークであり、法則性がなく、短期的な期待リターンはゼロである。ゼロなものはギャンブルである
最初に、金融経済学の中では、基本的に株式はランダムウオークであると考えられています。
ランダムウオークとは、法則性がない、ということです。
そのため、短期的に売買をした場合、次の瞬間に株価が上がっているか、下がっているかは、でたらめであり、運任せです。
これを期待リターンがゼロである、といいます。
つまりギャンブルです。
※ちなみに現実のギャンブルでは、胴元がお金を抜きますので、全体がマイナス方向に向かうので、期待リターンがマイナスです。
観測数を増やすと、株式でも正規分布する
しかしiDeCoやつみたてNISAでは、当然ながら株式投資ができます。
投資信託という大きな袋の中に、株式がたくさん入っているのですね。
投資信託に入れることで、百円程度から、数千銘柄に分散投資できるので、個人投資家にとっては、リスクを下げることができて、便利です。
そんな短期ではギャンブルな株式投資ですが、値動きを長期間観測すると、ちょっと不思議(に見える)ことが起こってきます。
それはリスク(リターンの分布)が正規分布する、ということです。
正規分布するとは、左右が対称の釣り鐘型のグラフになる、ということです。
でたらめなのに左右対称になる?
これはどういうことでしょうか。
それはすなわち、株価はランダムウオークなのだけれども、それをたくさん観測すると、不思議なことに(思えるけれど)、平均を中心にして左右に対称性がみられる、ということです。
正規分布の平均が期待リターンに近いイメージ。かつ期待リターンがプラスのモノが投資である
ここでゼロを中心に左右が対象になっていれば、先ほどのギャンブルと同じく、長期分散投資がギャンブルということになります。
しかし、この場合の長期分散投資の平均(グラフの真ん中)を見てみましょう。
それはややプラスに転じています。
長期で見て、ここでは初心者向けに乱暴に5%と表現します。
つまり、期待リターンがプラスの5%なのですね。
なぜランダムウオークな株式が正規分布するのか、そのカギは組み合わせ爆発にある
つまり、株式投資はランダムウオークでギャンブル性があるのですが、長期で見るとプラスの期待リターンが観測できるのですね。
なぜなのでしょうか。
それは投資家がリスクが嫌いなので、株式に対して5%くらい割り引いた価格を要求しているからです。
それがすなわち要求リターン=期待リターンとなるのですね。
※市場が効率的な場合ですが。
また、どうしてランダムウオークなのに、左右対称の正規分布になるのでしょうか。
この理由が組み合わせ爆発にあります。
組み合わせ爆発とは、観測数を増やすと組み合わせが爆発的に増えること
組み合わせ爆発とは、数学の用語のようです。
これは、観測数を増やすと組み合わせが急速に増える状態を言います。
どういうことでしょうか。
サイコロで考えてみましょう。
サイコロを二回振った合計(和)を考えてみます。
サイコロは法則性がない、ランダムウオークです。
ちなみに平均(一番良く出る可能性の高い数字の組み合わせの合計)は7になります。
- 2になる組み合わせは一通り→1と1
- 7になる組み合わせは6通りあります→1と6・2と5・3と4そして、その逆の組み合わせ
- 12になる組み合わせも一通り→6と6
ほら、こんな風に、ランダムなんだけど、たった二回の組み合わせでも、平均の確率がぐっと上がります。
これを数千回、数万回の和とすると、やはり平均の方がぐっと厚みが出るのですね。
つまり、
- 観測数を増やす
- 組み合わせ爆発が起こる
- 左右が低く、中央(平均の確率密度が高まる)ここが投資で言う期待リターンがプラス5%のところ
- ランダムウオークなのに、左右対称になる
ということなのですね。
つまり長期分散投資をすると、ギャンブルではなく、期待リターンがプラスの結果が望める可能性が高くなる、ということです。
いやー、ランダムウオークなのに観測数を増やすと、およそ全ての物事は左右対称になるなんて、実に面白いものですね。
ここにも資産運用の秘訣が隠されていますね。
それではまた。