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長期分散投資とは、サイコロを何回も振ることを意味するのかもしれない
こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
しばしば資産形成の世界では、長期分散投資が重要、ということが話題に上ります。
なぜでしょうか?
長期投資をすると、結果がプラスに収れんしやすい
それは、過去の値動きを見てみると、20年以上などの長期にわたり、株式を保有していると、リターン(収益)がプラス(例えば年率平均にならして、5%程度など)に収れんしやすい、という特徴があるからです。
これは結構良く知られています。
しかし、しかしです。なぜそうなのでしょうか?
リスク(市場リスク)こそがリターンを生む存在
いくつか理由が考えられ、挙げられます。
- 株式・債券は生産に参加しているリスク資産なので、経済成長に伴い、長期ではプラスになりやすい
- リスク資産は、リスクがあるから。リスクこそがリターンを生む存在だから
これも良く知られています。
資産形成の本にはたいてい書いてあります。
統計的に有利になるからかもしれない
他には理由がないのでしょうか?
統計的に考えた場合に、長期保有するとリターンがプラスに収れんする理由があるのかもしれません。
例えば、株式のように独立して動く、いわゆるランダム・ウォーカー存在は、過去のデータをいくら見ても、未来を予測できません。
未来のニュースに反応する存在だから、過去は関係ないからです。
また、未来のニュースで、すでに分かっていることは、すでに株価に織り込まれています。
そのため、未来の株価を左右するのは、株価に織り込まれていない、誰も知らないニュースです。
サプライズニュースは誰も知らないから、未来の株価はわからない
しかし、誰も知らない未来のニュースは、誰も知らないのですから、未来の株価の正確な値動きを誰にも予測できません。
ではなぜ、ランダム・ウォーカーなのに、統計的に見ると、長期保有するとリターンがプラスに収れんするのでしょうか?
それが統計の考え方にヒントがあるのかもしれません。
例えば、ランダムな事象のサンプルを多数集めると、そのデータは釣り鐘型になります。
グラフが釣り鐘型になります。
いわゆる正規分布のグラフです。
真ん中が最も確率密度の高い、「平均値」です。
株式投資などでは、期待リターンと呼ばれます。
つまり、ランダム・ウォーカーな事象を集めると、平均を中心に、振れ幅が分かることになります。
そのリターンの振れ幅をリスクといいます。
そして、その平均値がプラスになっていれば、長期的にみて、結果がプラスに収れんしやすい、ということになると思われます。
サイコロを連続で投げて、平均値を出すゲームがわかりやすいと思います。
サイコロをたくさん振って、サンプルを増やす。振る回数を増やすほどに、統計的に平均値の確率に近づきます。
では、投資の場合は?
やはり、サイコロをたくさん振ることが重要です。
投資の場合のサイコロをたくさん振る、とは?
- 一度にたくさんの銘柄を買う?
- 一度にたくさんの金額で買う?
私は上記は、サイコロを一度(1セット)振るだけにしかならない、と思います。
では、サイコロをたくさん振り、統計的に有利にするためには?
- 長期間、保有する
ということになると思います。
例えば、一か月がサイコロを1セット振るということです。
1セットの連続振りでは、結果がランダムです。
サイコロもランダム・ウォーカーなので当然です。
しかし、数十回、数百回と振る(長期保有・長期投資)と、結果が平均値(プラス)に収れんされていきます。
というわけで、長期分散投資が良い理由の一つは、長期投資をすると、結果が平均値(期待リターン)に収れんしやすいから、という理由もあるのかもしれません。
それではまた。