こんにちは。金融機関から販売マージンなどを受け取っていない中立的なアドバイザーとして講演執筆活動をする佐々木裕平です。
筆者は仕事の上で、常に次のようなことを発信してきました。
- いかに効率よくお金を増やしていくか
- いかに効率の良い金融商品を選ぶか
- 税制優遇制度を最大限利用する
- 老後に備えてお金を増やす
- 老後じゃなくてもいいから、邪魔にならないからお金を増やす
- 人生には何があるか分からないからお金を増やす
こんな感じです。
要約すると、増やすことに対して情報発信の重点を置いてきました。
もちろんニーズがありますので、今後もその重点は変わらないかもしれません。
さて、その一方で、NISAなどでお金を増やした世代がある程度高齢期に入りかけるころ、ある課題が出てきます。
それは、「お金の減らし方問題」です。
どういうことでしょうか。
大事なことですが、お金はあの世には持っていけません。
もちろん、世代間をまたいで、次世代へとお金を相続することはできます。
でも、果たして全部相続させる必要があるのでしょうか?
特に1980年代ごろ以降に生まれた世代(私もですが)、においては、この40数年間は節約・倹約・貯蓄・積み立て投資という人生だったのではないかと思います。
つまり、貯めたり増やしたりするのには慣れている、あるいは慣れつつあるものの、
『お金を使う』という行為に慣れていない、人々が少なからずいます。
特に私はそうです(笑)。
うつ病→無職、低収入という経験からも、なかなかに節約志向が強いです。
同様の方が世の中には多いのではないかと推察しています。
さて、これから数十年後、NISAとiDeCoにより、お金持ちが増える、とします。
その時、どのようにお金を使っていったらいいのでしょうか?
一気にドカーン! と高いものを買う?
例えば、住宅や海外旅行でしょうか。まあ、そういう人もいるかもしれません。
でも、多くの人は、今までの生活習慣から、急にバブリーな生き方に変更できないのではないでしょうか。
何しろ、40数年間も節約志向だったので、バブリーな生き方がわかりません(笑)。
また、特に必要な「モノ」というものも、「ないよ、そんなの」という人が多いのかもしれません。
とすると、どうなるでしょう。
私が今考えつくのは、「生活全般のほんの少しの格上げ」ではないかと思います。
- 例えば、ランチの値段を数百円上げてみる。
- 普段着る服のグレードを少し上げてみる。
- 家賃が少し高いところへ引っ越す。
こんな衣食住に対する、ほんの少しの格上げが多くの人にとっては起こるのではないでしょうか。
そして、意外と長く人の幸福度を向上させ続けてくれるのは、このような「持続可能な」「ほんの少しの格上げ」ではないかと思います。
そして多くの人がそれを実践すると、多くの人の主観的な幸福度が上昇します。
と、同時に、社会全体に(数十年経ってようやく)お金が回り始める、賃金と物価が健全に上昇し始める、のかもしれません。
ちなみに、経済学的には、賃金と物価がゆるやかに上昇し続けることが望ましい、と習ったと記憶しています。
(でも、本当は、賃金と物価が上昇していったら、いつまでたっても誰もお金持ちになれないし、特に生活が豊かにはならないのでは? とも実感として最近、強く感じますが)
話を戻しまして、多くの人にとって、いま大切なのは、「効率の良いお金の増やし方」かもしれません。
でも、数十年後には「楽しい、幸せになるお金の減らし方」が望まれるのかもしれません。