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アパート経営の見えない落とし穴を最近の動きから見てみましょう
※金育研究所では、金融リテラシーの普及・向上に努めています。
この記事は、現物不動産の投資を推奨するものではありません。
あくまでもお金の知識教育(金育)の一環としての記事です。
一昔前やもっと昔の資産運用の手法というと、
アパート経営が人気でした。
このような感じです。
昔のアパート経営の流れ
若い時は、アパートに入居し、
家賃を支払っている。
↓
結婚・退職した後は、
手持ちの家や相続した土地にアパートを建てる。
↓
資金は退職金など。
↓
新しい世代の若い人が、アパートに入居し、
家賃を支払ってくれる。
↓
収入も安定しており、
老後の生活費が工面できる。
日本のライフサイクルの流れの中の一つに、
アパートの存在があったのですね。
アパート経営はなぜ人気?
昨今でも、アパート経営は人気です。
その要因としては、
- 相続税対策になる
- 低金利なので資金を借りやすい
この2点が大きな要因です。
特に、2015年1月の相続税の優遇策で加速しました。
また、2016年2月には、日銀がマイナス金利を導入し、
さらに加速しました。
金利が低いので、とてもお金を借りやすくなったのですね。
アパート経営はバブル?
そのため、
2015年から2017年ごろは、
アパートバブルではないか?
という見方も出てきています。
(新設着工が2年近く高い伸びが続いたため)
2017年下期からは低調
ところが、2017年の下期からは、
3か月連続で新設着工が減少しています。
地方によっては空室が目立ち、
新聞報道によると、2017年10月時点で
一定期間の無料貸し(フリーレント)を売り物にする物件もあるようです。
- 栃木では1000件以上の物件がフリーレント(一定期間無料貸し)の状態
- 新築物件によっては、9割が空室状態
このようなことは、昔は珍しいことだったのではないでしょうか。
背景には、
- 少子高齢化
- 都心部への人口集中
- アパートの供給過剰(節税対策になるのでみんなが建てたため、、アパートが余り始めた)
などがあるようです。
農業をしないからアパートが増える?
もう一つの要因としては、
農業をしない人が増えているから、という一面もあるようです。
どういうことでしょうか?
- 土地を相続する。
- その土地は、農地だった。
- 相続した人は、農業はしないので、土地が遊んでいる。
- 遊ばせるのはもったいないので、相続税対策も兼ねて、アパート経営に乗り出す。
- ただ、そういう方はほかにも多いので、結果として、供給過剰になり、空室が増える。
- 農地があるところは、都心部から離れているので、人があまりおらず、値下げをしても埋まりにくい。
このような流れがあるようです。
このように、一人ひとりが自分の利益になるように行動した結果として、
思わぬ結果が出てくることを、合成の誤謬(ごびゅう)などとも言いますね。
金融庁のコメント
日本経済新聞2017/10/21参照
以下、金融庁のコメントです
「アパートローンは持続可能ではない」
(節税効果を強調し、将来の空室リスクを十分に説明しないなど、金融庁は顧客を軽視した姿勢を問題と見ている)
「顧客本位の業務運営」(を地方銀行に求めている)
(一部大手地銀は、顧客を建設業者に紹介する見返りに、手数料を受け取った(違法ではないが、その分、顧客が不利益を被る)
「アパート融資は地銀と顧客の信頼関係を損ないかねない。今後も実態の把握を続ける」
(人口減少が加速する地方で、年間数千個単位の新規供給を続けることは、理にかなわない)
すべてのアパート経営がダメではない
金融庁は、地方のアパートの供給過剰にかなり神経をとがらせているようです。
ここで注意したいのが、
すべての不動産投資がダメ、
ということではありません。
(もし、本当にダメなら、ビルは一軒もたたないことになりますから)
相変わらず都心には高層ビルが林立しています。
要は、需要と供給があっているかどうか。
今後も、その地域に人口が増え続けるのか?
空室リスクが家賃低下などの起こり得るリスクと勘案して、
大丈夫なのか?
これらをトータルで考えることではないでしょうか。
まとめ
今回は、現物不動産についてでした。
とはいえ、普通の人には、
お金を借りてまでの現物不動産投資はハイリスクすぎる気がします。
(土地や資金がある程度あるなら、別かもしれませんが)
私たち普通の人には、
コツコツと長期で資産を形成することが重要ではないでしょうか。
あなたの未来は、いまのあなたの資産形成が作ります。
金育研究所(広島県広島市にあります)では、
金融庁の金融リテラシー向上にあたる活動をしています。
当研究所ではそれを金育(お金の知識教育)と呼んでいます。
投資未経験者・初心者の方にも多くご利用いただいています。
金育研究所は、設立以来、何も金融商品・保険商品の販売・勧誘・斡旋は行っていません。
お金の知識教育を普及・向上させ、世の中を明るくすることが本旨です。
(企業・学校・団体などへも出張セミナーをさせていただきます)
どうぞお気軽にご利用ください。