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元本保証(元本確保型)の投資商品はどうなのか?
金育研究所は金融リテラシーの普及・啓もう活動を行っています。
本記事は、元本保証(または確保型)の投資信託・保険商品の売買を
推奨するものではありません。
結論を先にいうと、投資適格商品ではない?
投資の未経験者・初心者の方からしますと、
元本割れ(投資したお金が減ってしまうこと)が大変に怖いようです。
(当然の感情であり、悪いことではありません)
ただ、投資は損をすることが常にあることが普通の存在です。
元本割れを恐れすぎて、へんてこな金融商品を購入するのは避けたいところです。
元本保証・確保型の金融商品が良くないと考えられる理由
- 外貨建てで運用する場合、円高になっていると損をすることがある
- (外貨ベースでは確保されているが、円ベースに戻すと、実質的に損をしていることがある)
- 実質的な運用内容に対して手数料が割高
- 長期の投資期間後の元本保証にこだわることは非合理的
- 「損得なし」でインフレの場合、実質的に目減りしている
- 元本確保を行うためには、運用として様々な手法をとった場合、リターンが犠牲になる
- 「損得なし」の場合、利益を得たのは、売り手側という図式になる(手数料分など)
- 国債などの利回りが高い時期の場合は、その差額分が「損得なし」の場合、機会損失となる
- 個人投資家側で、「有利な商品だ」と勘違いしている(リスクが良く分かっていない)
- トータルで見ても、投資家が元本確保型の金融商品を保有するメリットが見つからない
上記の内容を読むと、ある程度の金融リテラシーのある方は、
「それはいけない」と強く思うのですが、
多くの方はピンと来ないかもしれません。
はっきり言うと、お金のプロは相手にしない金融商品ではないでしょうか。
元本保証・確保型の金融商品とは、どのようなものか
では、なぜ上記のように、あまりよくないのでしょうか。
その原因の一つに、運用の中身が挙げられます。
当然ですが、元本確保型の金融商品でも、運用中はリスク資産がマイナスになることがあります。
この場合、およそすべてのケースで、
「確定的に運用できる利回りで運用した場合に、目標期限に元本を確保できるように」
リスク資産を減らしていきます。
この点も、金融リテラシーが身についていない方には、分かりにくいかもしれません。
しかし、このようなリスクのコントロールは、金融リテラシーがある程度あれば、
自分でコントロールできますし、その方がコストがずっと安くなります。
極端な場合では、高いコストを払って、増えない貯金をしている状況になり得るのですね。
どうしても損がしたくないのなら、預貯金や個人向け国債の方が健全ではないでしょうか。
外貨建ての元本確保型の金融商品への注意点
上記の、元本確保型の金融商品が良くないと思われる理由の中で、少し触れましたが、外貨建ての元本確保型の金融商品について、
誤解がある場合がありますので、述べておきます。
2018年5月時点で、日本の金利は大変に低い状況です。
マイナス金利政策などの影響があるからですね。
そのため、国内の預貯金に魅力が薄い状況です。
そこで近年金融機関で人気(?)なのが、
外貨建てで、投資元本を確保することを目指す金融商品です。
しかし、これは、元本を割ることがあります。
大変に乱暴な説明ではありますが、
例えば、1ドル100円の時に、ドルで1000万円分を購入します。
つまり、10万ドルですね。
円に戻すときに、1ドル90円になったとします。
「損得なし」の場合、10万ドル帰ってきました。
10万ドルが10万ドルですから、元本は確保されています(とします)。
しかし、円ベースに戻すと、1000万円が900万円になっています。
為替のリスクは時に大きなものですので、
その点をしっかりと把握して(さらに上記のあまりお勧めできない理由を理解したうえで)
から行うのなら、問題はないかもしれませんが、
元本確保型の金融商品だという認識で行うのは、問題ありだと思います。
売り手が売る商品=良い商品ではなく「売りやすい商品」
金融機関などで、仮に元本保証型の金融商品を売っていた場合、
それは、必ずしも良い商品だから、売ったり、おすすめしているのではありません。
多くの金融機関は手数料ビジネスが収益源ですので、
「売りやすい商品」を、当然、売っています。
誰しも、売れない商品よりも、売りやすい商品を売るのが自然ですね。
ただ、人は基本的に、損失を強く恐れますので、
商品イメージとして、元本保証が・確保の方が、
損をしない・安心・得をしそう・合理的な印象を与えがちです。
未経験者・初心者の方などの、金融リテラシーの浅い方こそ、注意をしたい点です。