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ETN(上場投資証券)とETF(上場投資信託)の違い
ここ数年で新聞紙面などでもETF(上場投資信託)という文字が頻繁に踊るようになりました。
特に、日銀が大量に購入した日はその文言が新聞に必ず出ます。
その一方でETN(上場投資証券)という文言も、ちらほら出るようになりました。
一体、このETN(上場投資証券)というのは何者なのでしょうか?
私たち個人投資家が手を出しても良いものなのでしょうか?
詳しく見てみましょう。
ETN(上場投資証券)とは?
ETNは、「上場投資証券」や「指標連動証券」などと呼ばれます。
※現状ではどちらでも良いようです。
ETNは略称で、正式には英語では
- Exchange
- Traded
- Note
と呼びます。
エクスチェンジ・トレーデッド・ノートがETN(上場投資証券)!
頭文字を取ると、ETN(上場投資証券)というワケです。
直訳すると、証券取引所で売買できるNoteです。
Note(のーと)=債券
ここでいうNoteとは、指数連動債券のことです。
債券の発行体である金融機関が信用力を元に、
価格が特定の指標に連動することを保証する債券がリターンの源泉です。
※債券=指数連動債
特徴としては、ETF(上場投資信託)(後述)が裏付け資産を持つのに対して
ETN(上場投資証券)は裏付け資産を持たない(必要としない)という特徴があります。
欧米でのETN(上場投資証券)は大人気
欧米の株式市場では、ETN(上場投資証券)はETF(上場投資信託)に次ぐ
上場商品として活発に取引が行われています。
※ただし、欧州ではListed Certificates と呼ばれます。
日本では、いまだに株式投資や非上場投資信託(銀行や証券会社で売っている投資信託のこと)が
主流ですが、世界では、ETF(上場投資信託)とETN(上場投資証券)という新しいタイプの金融商品が
主流になりつつあるのかもしれません。
日本でのETN(上場投資証券)は生まれたばかり
国内では、2011年に第一号のETN(上場投資証券)が上場したばかりです。
2015年末でも30本未満です。
徐々に増えつつありますが、日本での一般的な普及にはあと20年ほどかかるかもしれません。
ではETF(上場投資信託)とは?
ETF(上場投資信託)は、
- Exchange
- Traded
- Fund
で、エクスチェンジ・トレーデッド・ファンドです。
直訳すると、上場している投資信託です。
ETN(上場投資証券)と同様に、指標に連動することを目指している投資信託です。
たとえば、日経平均株価に連動することを目指しているETFなら、
225社の株式が裏付け資産として内包されています。
その他の主な特徴はこちらです。
- 分配金が出る
- 非上場投資信託よりもコスト(信託報酬)が安い
日本での歴史はまだ十数年程度ですが、2017年時点で200本以上が上場しており、
日銀や年金機構などの金融機関も積極的に買い入れています。
もちろんニーサでも買えます。
ETN(上場投資証券)とETF(上場投資信託)の違い
お互いに、それぞれが上場している証券・投資信託です。
おまけに、お互いが指標に連動します。
一体、明確な違いは何でしょうか?
以下、まとめます。
ETN(上場投資証券) VS ETF(上場投資信託)
- 裏付け資産 なし ・ あり
- リターン(成績) 両者とも対象指標に連動
- メリット 指標とかい離しない ・ 倒産して無価値にならない
- デメリット 倒産するリスクがある(発行体の信用リスクあり) ・ 指標とかい離することがある
- 税制上の扱い 両社とも株式投資と同様かつ、ニーサ対象
- 分配金 なし ・ あり
ETN(上場投資証券)は分配金がない!
個人投資家にとっては、ここがETF(上場投資信託)との大きな違いですね。
ETN(上場投資証券)には、分配金が無いのです。
その理由は、ETN(上場投資証券)の指標連動債は、
すべて利息が付されていない債券(ゼロクーポン債)になっているためです。
長期保有を目指して、売却益+分配金で資産を大きくすることができず
単純に売却益狙いしか戦法がありません。
個人投資家にとっては使いにくい一面があるのですね。
ETN(上場投資証券)のデメリットと注意点
先ほども触れましたが、ETN(上場投資証券)は日本ではまだ歴史が浅いです。
そのため、参加者が少ないのが現状です。
つまり、流動性が悪い! のです。
売買したい時にできない可能性があります。
また、発行体の倒産や財務状況の悪化などで
ETN(上場投資証券)の価格が下落、
または無価値になることがあります。
これらを信用リスクと言います。
これらの点を見ても、無理にETN(上場投資証券)に挑戦する必要は現状ない、と思います。
※ETF(上場投資信託)にも流動性が悪いものがあります。
ただし、無価値になることはなく、上場廃止になると、その時点の価格で繰り上げ償還されます。
例:せっかく買ったけど、上場廃止→その時の時価で戻ってくる。
まとめ
- ETN(上場投資証券)は上場している指数連動債券
- ETN(上場投資証券)には分配金がつかないから、売却益狙いの戦法しかとれない
- 日本ではETN(上場投資証券)はまだ一般的ではなく、参加者が少ない
- 現状では無理にETN(上場投資証券)を買う必要性が見当たらない(無視していてかまわないレベル)