確実性効果とは? 行動経済学具体例

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完璧よりも、適当の方が良い結果になる? 行動経済学具体例 確実性効果とは

今回は、確実性効果について見てみましょう。

確実性効果とは、完璧さに対して過剰に反応するあまり、費用対効果を無視して100%にすることに固執してしまうことがあるという心の働きを表すことがあります。

どういうことでしょうか。

具体例を交えながら、わかりやすくみてみましょう。

ある工場での会話 完全を目指し過ぎて、コスパが悪くなる?

時計の針は午後11時を指していた。

「工場長、もう帰りましょうよ」

「いや、まだまだだ! まだこの製品には改良の余地がある! 見ろ! この裏側、全然汚いわい!」

二人が見ていたのは、今年発売予定の新しいドライヤーのテストタイプだった。

外見はすでに完成しており、中身のテストも済んでいた。

しかし、工場長は仕上がりになっとくが行かない。

「見てみろ、この裏側を、美しくない。おまけに、このコンセント部分も、普通すぎる。もっと個性的なモノにしないと!」

「えー、そうですか? ケースの裏側なんて誰も分解して見やしませんよ。それに、コンセントだって、普通で十分ですよ。そんなとこにこだわらなくっていいじゃないですか

使用には影響をきたしませんよ」

従業員はそういうが、工場長は完璧主義者なので、ほんの些細なこだわりも許せない。

しかし、従業員の言う通り、使用には十分なレベルにまで仕上がっている。しかし、完璧主義者なので許せない。改良の余地があるものは、完璧を目指すべきだという信念なのだ。

「工場長、そんな些細なことにこだわっていないで、他の新商品に取り掛かりましょうよ」

「バカモン! そんなことでどうする! 一つの製品をしっかりとクオリティを上げることが重要なのだ!

たとえあと何百時間かかろうとも、100%の出来栄えにするのだ!」

完璧を求めるには、多額のコストがかかる。場合によってはある程度のコストカットは仕方ない?

こうして、その新製品のドライヤーには、巨額の人件費と開発コストがかけられた。

しかし、運悪く発売少し前に、同様の製品が他社から発売されてしまった。

しかも、価格がずっと安い。

「工場長、他社のドライヤーの売れ行きの方がずっと良いです」

「おのれ、やはり低価格には勝てないのか。わが社の製品は見えないところまで完璧なのに…」

「だから言ったじゃないですか。ある程度品質が高い製品ですから、もう十分ですって。見てください。ほんの少しの完璧さを求めた結果、開発費が高額になり、結果として売価が高くなる。だから、売れない。どうするんですか、工場長!」

工場長はうなりながら、にやりと笑った。

「大丈夫だ。君のボーナスを完璧にゼロにすれば帳尻があう」

おしまい

まじめな人は確実性効果にご注意? 手を抜いている人の方が上手く行きやすい?

上記の一例では、工場長が完璧を目指し過ぎてしまったがゆえに、かえって高額のコストがかかってしまい、費用対効果が悪くなる、というお話でした。

従業員の言うとおりに、その分のコストを新しい新商品開発に向けた方が良い結果になったかもしれません。

しかし、私たちはしばしば日常生活や仕事においても、同様の確実性効果にはまることがあるのかもしれません。

  • 他人から見るとどうでも良いことでも、几帳面にやり過ぎてしまう。
  • 他にエネルギーを費やした方が、より全体としては良くなるのに、一つに集中しすぎてしまう。

しばしば起こり得ます。まさに、確実性効果にご注意を、というところでしょうか。

おさらい 確実性効果とは 【行動経済学具体例】

今回は、確実性効果について見てみました。

確実性効果とは、完璧さに対して過剰に反応するあまり、費用対効果を無視して100%にすることに固執してしまうことがあるという心の働きを表しています。

筆者も本記事をきっかけに、自分の仕事を見直してみると「あれ、確実性効果にはまっているな、こんなに完璧を目指す必要はないな」と思うことがありました。

多くの物事は、8割くらいのクオリティに仕上げることは割と簡単ですが、そこから100%の完璧を目指すには、同じくらいの時間と労力がかかるのかもしれません。

それなら、同じ時間で8割のクオリティの仕事を二つ仕上げた方が、効率は良いのかもしれません。

一日は誰しも24時間しかないのですから、時間に対する費用対効果を上げたいものです。

手を抜けるものについては、手を抜いたほうが全体としてより良くなる場合がたくさんあるのかもしれません。

 

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