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行動経済学入門:具体例 アクセシビリティで売り上げアップ!?
今回は、アクセシビリティというものについて見てみたいと思います。
英語にすると、accessibilityとなるようです。
意味合いは
接近できること、近づきやすさ、動かされやすいこと、影響を受けやすいこと
参考weblio
ということのようです。
ただ、行動経済学の世界では、アクセシビリティとはイメージのしやすさを指すことが一般的のようです。
- アクセシビリティとは、イメージのしやすさ
どういうことなのでしょうか。
行動経済学入門:具体例 アクセシビリティを上手に使って、商品の売り上げを上げよう!
ここに、売れない営業マンA田さんがいます。
「あーあ、今日もレンタルコーヒーサーバーの契約が取れなかったよ」
どうやらA田さんは新しい契約が上手に取れていないようです。
重い足取りで営業所へ戻ります。
「ただいま戻りましたー」
先輩のウレスギさんがイスに座ってコーヒーを飲みながらくつろいでいます。
「おう、A田くん、今日は契約が取れたかい?」
「ウレスギ先輩・・・ダメです。全滅です」
ウレスギ先輩は不思議そうな顔をしながら聞いてきました。
「おかしいな、うちのレンタルコーヒーサーバーは品質もいいし、味も抜群だし、コスパも良いのだから契約はむしろ取れやすいと思うのだが・・・」
そうです。この会社のレンタルコーヒーサーバーはお買い得、ともいえる良い商品なのでした。
そして、ウレスギ先輩は、毎月の売り上げも営業マンの中でもトップクラスです。
行動経済学入門:具体例 アクセシビリティが悪いから、売れない?
「ウレスギ先輩はイケメンだから契約が取れるんですよ。僕なんか・・・うう・・・」
「いやいや、元気を出しなよA田君。顔は関係ないよ。製品も同じだし。ひょっとして君、アクセシビリティが悪いセールストークをしているんじゃないかい?」
「アクセサリーですか? つけてませんけど」
「アクセサリーじゃないよ(笑)アクセシビリティだよ。いわゆるイメージのしやすさだね。これが悪いセールストークなんじゃないかい? ちょっと君のセールストークを聞かせてよ」
「分かりました・・・。いきます。ゴホン。」と咳をしたA田さん、目は真剣そのものです。
「お客様、当社のコーヒーサーバーは、なんと! 年間使用料金18,250円! どうですか! このコーヒーサーバーの凄いところはですね・・・」
「・・・ありがとう、A田君、もういいよ。良く分かった」
A田がしゃべり始めた途端、ウレスギ先輩はA田のセールストークを遮ってしまいました。
「ちょ、ちょっとウレスギ先輩、これからが良いところなんですけど・・・」
「いや、もう君の売れない理由が分かった。やっぱりアクセシビリティが悪いね」
行動経済学入門:具体例 こうするだけでアクセシビリティが良くなる?
ウレスギ先輩は飲みかけのコーヒーを一気にあおり、こう切り出しました。
「いいかい、A田君。コーヒーサーバー年間使用料金18,250円! なんて言ったって普通の人には、それがどのくらい安いのか・高いのか分からないだろう?
つまり、アクセシビリティが悪いんだ。私ならこう言うね」
ウレスギ先輩は一呼吸おいてから静かにしゃべりだしました。
「お客様・・・当社のコーヒーサーバー使用料金は、一日たったの50円です。 このコーヒーサーバーの凄いところはですね・・・。とまあ、こんな感じだね」
「えー! 僕のとほとんど変わらないじゃないですか!」
「そうだよ。A田君の言っている言葉のアクセシビリティをよくしただけだからね。全く同じことを言っているんだ。年間18,250円の使用料だとお客様にはピンと来ないから、365日で割って、一日あたりの使用料金をしゃべっただけなんだ。
でも、どうだい? たったのそれだけで、どのくらいの利用料金かがグッと分かりやすくなっただろう?」
A田さんは何かつきものが落ちたような顔つきになりました。
「そうか・・・それがアクセシビリティが良いということですね。僕は商品の性能ばかりアピールしていました。でもそれでは、お客様にとっては分かりにくかったのですね!」
ウレスギ先輩はA田さんの肩をポンとたたき、にっこり笑いかけます。
「そうだよ。営業マンに大事なのはアクセシビリティだ! 明日からがんばれよ!」
「はい! ありがとうございました。ウレスギ先輩!」
こうしてセールストークのコツをつかんだA田さんは、契約が取れるようになりました。
おしまい
行動経済学入門:具体例 アクセシビリティまとめ
- ×コーヒーサーバー年間使用料金18,250円! イメージしにくく、割高な印象になる
- ○コーヒーサーバー使用料金、一日たったの50円! イメージしやすく、割安な印象になる
- アクセシビリティの容易な文言が重要
アクセシビリティ・・・面白いですね。ポイントは、全く同じことを言っているのに、異なる伝わり方になる、というところでしょうか。
いやあ、実に行動経済学は楽しいですね。それではまた。