お金持ちになりたい原因は、もしかすると特定のスキーマが原因かも

スキーマとは

こんにちは。

金融教育研究所の佐々木裕平です。

お金を増やす・資産形成において「お金を増やしたい」という動機は重要かもしれませんが、その思いが強すぎるとかえって人生全体での幸福度を下げてしまうことにもなってしまうかもしれません。

ちなみに現在の経済学の先行研究によって、お金が増えても(お金持ちになっても)、そうでなくても、個人の幸福度にはほとんど変化がない、ということがわかっています。

それでも私たちの中には(昔の私が特にそうでしたが)、「お金持ちになりたい!」という動機が強い人がいます。

なぜなのでしょうか。

今回は、心理学の面から見てみたいと思います。

スキーマ わかりやすく

Contents

お金持ちになりたい欲求は、「成功しなければ、人は幸せになれない」という固有の価値観(スキーマ)が影響しているのかもしれません

心理学の中に、認知行動療法というものがあります。

これは認知(物事のとらえ方)を、現在の環境に適応したものに変えることで、「つらさ」を取り除くというものです。

例えば、電車に乗っていて、席を譲られても

  • ある人は「ありがとう! ゆっくり座れるからうれしいよ!」
  • ある人は「なんで私に席を譲るの? 私を高齢者扱いしているの?」

などと異なる感想を持ちます。

ただ、どちらも同じ出来事です。

しかし、認知の差によって、個人個人によって反応が異なるわけですね。

そして、後者の認知を持つ人は、例えば、「つらい」ことが多い人生に感じてしまうことがあります。

スキーマ 心理

 

スキーマとは 心理学では固有の価値観を意味

でも、どうして同じ出来事なのに、個人個人で感想が異なるのでしょうか。

心理学では「スキーマ」が(かつては適応していたけど、いまでは環境に)非適応だからなんじゃないかな? という考え方をすることがあります。

このスキーマというのは、乱暴に言うと個人の固有の価値観を意味しています。

先ほどの電車で席を譲られた例でも、個人の価値観によって、「うれしいor怒り」と感想が異なりましたね。

で、問題なのは、その個人の価値観が、いつまでも適応している、とは限らない、ということです。

例えば先ほど電車で席を譲られた人は、もしかすると

  • 昔は「自分のことは自分で、きちんとしなさい!」と厳しく他者からしつけられたり、自分でルール化していたのかもしれません。

もちろん、それでうまくいっていた時期もあったでしょう。むしろ学生時代はそうすることで褒められたり、より良い成績を残せたかもしれません。

しかし社会に出て、様々な考え方を持つ人がいる世界では、「自分のことをすべて自分できちんとできる!」ということは現実的ではありません。

もちろん自分でできることも、いくつかはあります。

でも、それと同じか、それ以上に、譲ったり、譲られたり、協力しながら回っていくこともあるからです。

スキーマとは

スキーマ療法とは 固有の価値観であるスキーマは変えられる

だから「いまの自分のつらい毎日は、個人の価値観が(かつては適応していたけど、いまでは環境に)非適応だからなんじゃないかな」と疑って、適応的な考え方に変えてみることも重要ではないかと思います。

先ほどの例では、「自分のことは自分で、きちんとしなさい!」→「できることは自分でできるに越したことはないけれど、何もかも自分で全部できる人間なんて世界にほとんどいない。だから自分も相手に譲ったり譲られたりしていいのだ。きちんとできても、できなくても、どっちでもOK」という風に、個人の価値観を変更することも重要かもしれません。

スキーマの具体例 お金持ちになりたいという思いが強すぎる(お金持ちにならなければ自分に価値がない)

では、お金に話を戻しましょう。

お金持ちになりたいのはなぜでしょう?

もちろん不自由のない生活や、老後の安定した生活のため、という理由もあります。

ただ中には、何億円ものお金持ちになりたい! という欲求が強すぎることもあります。稼いでも稼いでも幸福度が上がらないのですね。また、稼ぐほどに上がるように人間はできていません。

お金が増えても幸福度が上がらないが人間です。また、お金がある程度あれば、十分に幸せなのも人間の特徴です。

この背景にある個人の価値観としては、もしかすると次のようなものがあるのかもしれません。

  • 一番でなければ、自分には価値がない・あるいは価値が減ずる
  • 他者よりも自分はずっと優れているべきだ
  • 自分は他人とは違う
  • 自分に自信がなく、お金を持っている自分を評価してくれる人々の評価によって、自分の価値を確認できる

もちろん、必ずしも悪いことではありません。

かつては、それが適していた時期もあったでしょう。

スキーマ療法 具体例

 

固有の価値観(スキーマ)の強さによっては、人生がつらくなってしまうことがある。お金持ちにならなければ、自分に価値がない、というスキーマでは、幸福度を下げやすいし、お金が増えても幸福度が上がらない

ただ、それが強すぎると生きるのがつらくなってしまうことがあることも、また事実です。

少し考え方(認知)を変えるだけで、状況はまったく同じなのに、より楽しい人生になっていきます。

  • 一番でなくても、自分には価値がある・あるいは価値が減ずることなんてない
  • 他者よりも自分はずっと優れていても、いいけれど、そうでなくても別にいいじゃん
  • 自分は他人とは違うところはあるけれど、それによって、優劣が付くような世界ではないよねー
  • 自分に自信があり、お金を持っていない・いても、自分を評価してくれる人々の評価によって、自分の価値は変わらない・減じない

上記のような、より現実の社会に適応した考え方に変えるだけで、より楽しい人生になると思います。

筆者はお金のお話をしたり、書いたりすることが多いのですが、それはお金持ち=素晴らしいから、ということではありません。

より自由に、より自分らしく、楽しい人生を送る、そして社会・経済を元気にして、より多くの人が幸せな毎日を送るのに、お金の教育が重要だと感じているからです。

お金を考える際には、理論だけでなく、心理面も大事なのではないか、と最近考えています。

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