ようやく涼しくなってきました。
こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
皆様、先日の台風がすごかったですが、お元気でしょうか。
私は元気です。
さて、本日は(も?)少しマニアックな内容について考えてみたいと思います。それは、ランダムウォーカーの意味と、その証明方法についてです。
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ランダムウォーカーの意味とは
ランダムウォーカーとは、広義の意味では、酔っ払いの千鳥足のことです。
足がもつれるほど酔っぱらったことありますか?
私はあります。
その状態になると、フラフラします。
あっちへふらふら、こっちへふらふらと、周囲の人にも、本人にもわからない動きをしてしまいます。
これは株式の値動きでも、しばしばいわれます。
いえ、株式のみならず、天候や人の身長・サイコロの出る目・さやえんどうの大きさなどでも、ランダムウォーカーだと言われています。
事前に次がどうなるのか、明確にわかっていないのですね。
株式におけるランダムウォーカーの意味とは
そして、株式などの資産運用の世界にもランダムウォーカーと呼ばれるものがあります。
株式・債券・金・仮想通貨、などの価格はランダムウォーカーと呼ばれています。
大昔に言われていたような、チャート分析は通用せず、現代ポートフォリオ理論では、株価などはランダムウォーカーであり、予想はできない、といことです。
つまり、今日買って、明日売ると儲かっているか、損しているかは、わからない、ということですね。
地球上の誰にも分かりませんし、株式自体にもわかりません。
まさに酔っ払いの千鳥足のような動きです。
ランダムウォーカーって、どうやったら証明できる?
ところで、どうしたら株式がランダムウォーカーである、と証明できるのでしょうか。
大昔のように、チャート分析のような法則性がない、とどうして言えるのでしょうか。
かんたんな照明をしてみましょう。
正規分布という表・曲線があります。
左右に対称性の見られる曲線です。
過去70年分などの株価の月ごとの変化率を見ると、正規分布の曲線になります。
いわゆる釣り鐘型になるのですね。
期待リターンを中心として、左右に均等っぽい富士山型になるというと、もっとわかりやすいかと思います。
だからランダムウォーカーなのです。
証明終わり。
というと、そっけないので、もう少し。
正規分布になるには、二つの条件があります。
- 観測数が多いこと
- 対象がランダム(でたらめ)であること
70年(840か月)くらいの観測数で、株価を観測すると、釣り鐘型の正規分布になります。
ということは、条件2の対象がランダムである、といえるわけです。
だから株価はランダムウォーカーなのですね。
証明終わり。
ランダムウォーカーはでたらめだから、正規分布する
昔の私には、このランダム(でたらめ)だから規則性のある正規分布する(対称性がみられる)ということが、信じられませんでしたし、意味が不明でした。
でも簡単な統計や標準偏差(不確実性を計る物差し・道具)について勉強してみると
- ランダム(でたらめ)なことだからこそ、統計を取ると、正規分布し、規則性が生まれる
ということの仕組みがようやく理解できました。
これはとても楽しい学び(個人的には発見)でした。
ランダムウォーカーであるとの前提のポートフォリオとは
さて、資産運用において、ランダムウォーカーである株式などを保有することは非常に重要です。
ランダムウォーカーであるということは、リスクがある、価格の不確実性がある、ということです。
そうである以上、ポートフォリオを組む際は、分散を徹底することが重要です。
個人的な意見では、ポートフォリオは、インデックス(市場平均)と安全資産(預貯金など)の二基金で誰でも完成できると考えています。
※二基金分離定理と言います。
ちなみにこのランダムだからこそ、正規分布するというのは、株式のみならず、天候や自然界の様々なもののサイズなど、多くのことに見られる現象です。
ランダムだからこそ、規則性が生まれるなんて、この世界はとても不思議に満ちているような気がしました。
それではまた。