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公的年金とどう違う? 自分年金と企業年金
金育研究所は、金融リテラシーの普及・啓もうに努めています。
本記事は、お金の知識教育(金育)の一環として記すものです。
公的年金には、
およそすべての人が加入する国民年金と
会社員や公務員などが加入する厚生年金(+国民年金にも入っている)が
ありますが、公的年金以外に、どのような制度があるのでしょうか?
今回は、企業年金と個人年金などについて、
見てみましょう。
①企業年金をざっくり学ぶ
企業年金は、文字通り、企業が主体となり年金を支給する制度です。
企業年金は、大きく分けて、
- 確定給付型
- 確定拠出型
があります。
確定給付型とは、あらかじめ、
給付額の算定式が確定している年金です。
一方の、確定拠出型は、
かけるお金(拠出金)は確定しているけれど、
給付される額が決まっていない年金です。
つまり、確定拠出型は、
運用実績によって、給付額が増えたり、減ったりするのですね。
②確定給付型年金をもうすこし詳しく
確定給付型の企業年金には、
厚生年金基金などがあります。
図で見ると、右上の企業年金などの部分ですね。
厚生年金基金は、厚生年金保険の老齢年金の一部を国に代わって行います。
企業独自の年金給付として、上乗せ給付を行う制度です。
③確定拠出年金について
最近話題の確定拠出年金ですが、
どのような制度でしょうか?
ここで述べているのは、
企業型確定拠出年金制度です。
略してDCなどとも呼ばれます。
Defined Contribution Plan
(確定拠出年金)
他にも、個人の場合は、
個人型確定拠出年金があります。
個人型はイデコとも呼ばれます。
その他の税制優遇制度との違い、一覧表
※いずれも税制優遇制度です。
文字通り、(うまく行った場合のみ)税制が優遇されます。
それだけです。
投資の本質やリスクが変化するわけではありません。
損をする可能性は当然にあります。
※下記表は、2018年1月時点の内容です。今後法改正などで変わる可能性があります。
ニーサ | ジュニアニーサ | つみたてニーサ | イデコ(個人型確定拠出年金) | |
利用できる人 | 日本に住む20歳以上の人 | 日本に住む20歳未満の人 | 日本に住む20歳以上の人 | 60歳未満の国民年金または厚生年金保険の被保険者 |
運用管理者 | 本人 | 親権者等 | 本人 | 本人 |
つみたて時税制 | 所得控除の適用なし | 所得控除の適用なし | 所得控除の適用なし | 全額所得控除 |
運用中の非課税 | 5年間運用益非課税 | 5年間運用益非課税 | 20年間運用益非課税 | 70歳まで運用益非課税 |
払い出し時の税金 | 課税されない | 課税されない | 課税されない | 元本を含めて原則課税(ただし、退職所得控除または公的年金等控除の対象) |
非課税投資枠(年間) | 120万円 | 80万円 | 40万円 | 会社員・自営業者などの属性により、14.4万円~81.6万円 |
非課税累計投資枠 | 600万円 | 400万円 | 800万円 | 上限なし |
投資対象商品 | 上場株式(ETF/REIT含む)投資信託 | 上場株式(ETF/REIT含む)投資信託 | 金融庁指定の投資信託・ETF | 定期預金・保険・投資信託 |
新規に投資できる期間 | 2014年から2013年 | 2016年から2023年 | 2018年から2037年 | いつでも |
投資方法 | 一括買い付け・つみたて | 一括買い付け・つみたて | つみたて | つみたて |
損益通算・繰り越し控除 | できない | できない | できない | できない |
資産の引き出し | いつでも引き出せる | 18歳まで引き出せない | いつでも引き出せる | 原則60歳まで引き出せない |
スイッチング・分配金再投資の扱い | 新規の購入とみなされ、非課税枠を消化 | 新規の購入とみなされ、非課税枠を消化 | 新規の購入とみなされ、非課税枠を消化 | 制限なし |
口座開設手数料・口座管理手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 口座開設手数料2777円(税込み)
口座管理手数料2004円~7000円程度(金融機関による) |
最低拠出額 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 月5000円から |
金融機関の変更 | 年単位で可能 | できない | 年単位で可能 | いつでも可能 |
ほかの制度との併用制限 | つみたてニーサとの併用は不可 | 制限なし | ニーサとの併用不可 | 制限なし |
④受け取れる額は、運用成績次第
企業型にせよ、個人型にせよ
毎月一定額の金額を積み立てていきます。
そして、それを運用するのは、その人なのです。
そうです。
多くの人は、投資を避けて通れない状態になっているのですね。
(その割に義務教育では触れられないので
金育研究所は金融リテラシーの普及・啓もうに努めています)
そのため、
- 全く同じ会社に勤めていて、
- 全く同じ掛け金を毎月拠出していて、
- 全く同じ期間、加入していても、
- 受け取れる金額が異なります。
運用方法で異なるのです。
現実問題として、
上記の同じ条件でも、期間や金額にもよりますが、
数千万円の差がつくことがあります。
誇張して言っているのではなく、
期間が長く、
毎月の掛け金が大きいと、
自然とそのくらいの差が出てくるのです。
ですから、長期投資が重要なのですね。
これが、現実です。
知らないと困ることがあるのです。
そのため、金融リテラシーの普及・啓もうが重要なのですね。
⑤自営業者などはどうする?
自営業者などは、もちろん
個人型確定拠出年金にも入れます。
また、
- 国民年金基金
- 小規模企業共済
などの、制度もあります。
⑥自営業者などの年金の注意点
自営業者などは、
何もしなければ、
国民年金にしか加入していない状態です。
そのままですと、
2018年現在では、
年間で80万円未満の年金しか受け取れません。
月に換算すると、6万円ちょっとです。
老後に、これだけで生活ができるでしょうか?
自営業者の人は、会社員や公務員よりも
将来受け取れる年金が少ない可能性があります。
(厚生年金がないため)
できるだけ、早めに、金融リテラシーを身につけ、
資産形成をスタートさせることが、
社会的にも重要なことだと思います。
⑦私的な個人年金
民間の個人年金もあります。
保険会社などで販売しています。
しかし、現在の低金利では
必要な額まで届かないのが現状です。
新規で申し込んだ場合、年0.2%程度の利率のようです。
※マイナス金利政策の影響で
元本保証のタイプは、大変に利率が低いのです。
これでは、老後の資産形成は厳しいのが現状です。
※なぜ、政府が確定拠出年金制度や
つみたてニーサなどの投資制度を拡充させているのか?
そのカギの一つは、低金利で増えない現状があります。
ただ、投資は損をすることがあります。
確定拠出年金制度などで行っても税制面以外はほぼ同様です。
だからこそ、金融リテラシーが必要なのです。
◆お礼とお知らせ
拙著 入門お金持ち生活のつくり方(こう書房)
が、Amazonさんの電子書籍ランキングで
人生論・教訓・自己啓発・倫理学・道徳部門で1位となりました。
おかげさまで2018年2月中、連続1位となりました。
関係者・読者の皆様に、厚く御礼申し上げます。
ポリシー
金育研究所は設立以来、
金融商品・保険商品の販売・勧誘・斡旋はしていません。
常に中立・公正な立場から、
合理的な金融リテラシーの普及・啓もうを行っています。
お金と投資の知識教育(金育)は、およそすべての人にとって
必要なものですが、
残念ながら、現在の義務教育のカリキュラムには入っていません。
多くの方が、投資に対して
- 困った勘違い
- 勿体無い行為
を行っています。
長期分散投資であっても、
多くの方が、勘違いをして、損な行動をしているのが現状です。
合理的な金融リテラシーが普及すれば、
結果として、社会が少し明るくなるのではないか? と考え、
行動しています。
小さな事務所ですが
これからもコツコツと
金融リテラシーの普及・啓もうに努めてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。