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現在性効果(現在志向バイアス/現在バイアスともいう)とは、いまの時間がとっても大事に見える効果
こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
最近、徐々に温かくなり、過ごしやすくなってきました。
とはいえ、まだまだ新型コロナウイルスの影響は、社会に大きな影を落としています。
一日も早くワクチンが全世界にいきわたるといいなあ、と思います。
さて、今回は現在性効果(現在性バイアス・現在志向バイアスともいう)について少し触れてみたいと思います。
子供向け現在性効果の一例「15分待つとマシュマロが2個もらえるよ!」
とある研究の実験では、幼児たちにこんな実験をしました。
- いますぐ食べるとマシュマロが1つもらえる
- 15分待つと、マシュマロが2個もらえる
実験では幼児たちの多くは、いますぐ食べられる目先のマシュマロ1個を選択しました。
どうしてでしょうか?
それは(確実ではありませんが)、未来のマシュマロ2個よりも、いまマシュマロ1個の方が「価値が大きい」と考えたからかもしれません。
人は未来の果実より、いまの果実の方が魅力的に見える
目先の利益(食べ物)を重視する。
これは人がまだ野生的な生活をしていた時には、非常に重要な考え方です。
むかしむかしの時代では、いま食べられる獲物や果実を確実に食べておくことが重要でした。
養殖や牧畜・栽培などをして、のんびり数年後の大きな収穫を待っていると、その間に不明確なこと(リスク)が発生すると、死んでしまうかもしれない。
これを避けるためには、そもそも脳の神経回路の構造レベルから、現在の物事に重みをつけるように生きていくことが、生存率を上げる重要な戦略だったのだと思います。
現在のfMRIなどを使った、脳の活動実験でも、それらが徐々に解明されているようです。
大人向け現在性効果の一例「40年待つと、もっと大きなお金になるよ!」
ひるがえって現在の大人版の現在性効果(現在性バイアス・現在志向バイアスともいう)の一例を見てみましょう。
- 毎月4万円を使って、ハッピーに生きる
- 毎月4万円をつみたてNISAやiDeCoで積み立て投資して、40年後に6,000万円くらいに大きくしてハッピーに生きる
従来の人の認識では、毎月4万円を使ってハッピーに生きる方が合理的かもしれません。
特に物価が上昇していく高度成長期の日本では、早くお金を使わないと、どんどん現金の価値が小さくなっていくので、早く使った方が良かったかもしれません。
ところが、これからの日本の社会(というか先進国諸国ではどこでも)では、少子高齢化、長寿化が問題になってきます。
早い話が、働けなく(働きたくなく)なってから、長い人で40年くらい時間があるのですね。
これでは貯蓄が早く底をつき、生活が難しくなる人が大勢出てくる可能性があります。
このような世界では、
- 毎月4万円をつみたてNISAやiDeCoで積み立て投資して、40年後に6,000万円くらいに大きくしてハッピーに生きる
ことが重要になってきます。
すでにアメリカ・イギリス・オーストラリアなどの先進国諸国では、日本のiDeCoやつみたてニーサに当たる制度がスタートしています。
そしてそれらは大きな成果を出しつつあります。
これからの時代、老後にハッピーに生きるには、目の前のマシュマロを我慢できるかどうかが、重要になってくるのかもしれません。