こんにちは。
金融教育研究所の佐々木裕平です。
現在は歴史的に見ても「低金利」の時代です。
140年間くらいの期間で見ても、ざっくり6%近辺をウロウロしていた金利ですが、
ここ30年間くらいは0%近辺をウロウロしています。
なぜ低金利なの? については←こちらの記事をご覧ください。
Contents
金利とは? お金のレンタル料金
ちなみに金利とはお金のレンタル料金の度合いのことです。
お金のレンタル料金(金利)が低い方がお金を借りやすい世界になり、景気が良くなることが期待されています。
そのため、日本では1990年ごろのバブル崩壊以降、30年以上も低金利政策を実施しています。
- 低金利にする→お金を借りやすくなる→景気が良くなる
この方程式が経済学の世界では「かつての常識」でした。
理論的にも間違いはないようです。
では、それを30年間も続けている日本は、どうして景気が良くならないのでしょうか?
景気が良くなるのに必要な最後のカギは「人々の明るい心」つまり、期待!
その背景にあるのは、期待の薄さかもしれません。
この「期待」というのは金融・経済の世界では非常に重要です。
例えばコロナショック。
コロナウイルスの感染拡大が続くと、人々の期待はしぼみます。
その反面、ワクチンが普及すると、人々の期待は膨らみます。
- 景気が良くなりそうだ!
という明るい期待が大きくなるのですね。
こうなると景気が良くなりそうになります。
前述の低金利政策が成果を上げるには、このフワフワとした人々の「期待」という、目に見えないものが変化する必要があります。
- 低金利政策がうまく行く場合の人々の心
- 中央銀行が市中に出回るお金の供給量を増やす
- お金が余るので、銀行が貸し出し合戦になる
- お金のレンタル料金(金利)が下がる
- 超低金利になる
- お金が借りやすくなる
- 人々が「これから景気が良くなるはず! お金を借りて、家を建てたり、新しいビジネスを始めよう! とにかくお金を使おう!」と思う。つまり期待が高まる。
- 物価上昇・インフレ傾向・不景気脱却・株価上昇・お給料アップ・金利上昇
- けっこうハッピーな世界
この流れになるわけですね。
これが従来の経済学の低金利政策の目指すところです。
素晴らしいですね。
でも現実はそうなっていません。
現実のニンゲンは期待を抑える「不安・後悔したくない」という気持ちを持っている
今度はうまく行かない世界(いまの現実世界)の流れを見てみましょう。6番目までは一緒です。
- 低金利政策がうまく行かない場合の人々の心
- 中央銀行が市中に出回るお金の供給量を増やす
- お金が余るので、銀行が貸し出し合戦になる
- お金のレンタル料金(金利)が下がる
- 超低金利になる
- お金が借りやすくなる
- 人々が「どうせ景気は良くならないだろう・・・。 お金を借りて、家を建てたり、新しいビジネスを始めたりするものか。とにかくお金を使わずに、貯金だけ使用」と思う。つまり期待が高まらない。
- 物価下落・デフレ傾向・不景気のまま・株価上がらない・お給料上がらない・金利低いまま
- いまと変わらない世界
このような感じでしょうか。
うまく行く・行かないの違いは、人々の「期待」が高まるかどうかなのかもしれません。
低金利脱却のカギは人々の「不安・後悔したくない」という心を和らげること?
ということは、逆から見ると、
低金利を脱却するには、低金利政策と同時に人々の気持ちを明るくすることが必要なのかもしれません。
ちなみに欧米、特に米国人は「(特に根拠はないが、仮にテストなどが日本人と同じ成績であっても)前向き・ポジティブ・自信過剰」な行動をとることが知られています。
そのため、低金利政策などを行うと、割と早く良い結果が出るのかもしれません。
これは背景として、欧米人は自己肯定感が強いから、なのかもしれません。
もしかすると、日本人は比較的(欧米人より)自己肯定感が低いのかもしれません。
あれ? ということは、欧米並みに自己肯定感を高める教育などを重点的に行うと、数十年後には明るい経済・社会になっているのでしょうか?
そしてそれこそが新しい経済学の重要な要素となるのでしょうか?
それではまた。