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プライベートバンクに投資を任せると、良いことがある?
プライベートバンクやプライベートバンキングという文言を
時々、耳にしますが、どのようなものでしょうか?
- ※結論から言いますと、一般的に考えて、普通の資産・収入の方がプライベート・バンク及びバンキングを利用するメリット・必要性は「ない」と思います。
- 資産が2億円以上あり、不動産が多い、かつ、会社を経営しているなどの、ごく一部の富裕層が利用すべきかと考えます。
プライベートバンクとは何のことなのか?
スイスでは、プライベートバンクが定義されているようです。
ウイキペディア参照
「個人銀行家の銀行(プライベートバンカーの銀行)」、「経営に無限責任を負うプライベートバンカー)が所有し、経営する銀行」が原義である。
(歴史的には詳しくありませんが、ヨーロッパではたびたび戦争が起こったので
そのような制度が、あるのかもしれません)
顧客層としては、王侯貴族や、超のつく富裕層のようです。
いわゆる億単位のお金を持っている人たちですね。
業務内容は、資産の保護・資産運用・事業相続・事業承継などが当たるようです。
日本での、プライベートバンクとプライベートバンキングの違いとは?
スイスでは、銀行としてのプライベートバンクが存在しますが、
日本国内でも、プライベートバンクはあるのでしょうか?
海外では、上記のようなワンストップで資産を一元管理する銀行が存在するようですが、
日本国内では、規制のため、すべてを一元管理する銀行が存在できないようになっています(執筆時点)。
(※例えば、銀行が金融商品を一元的に販売・運用・管理していると、倒産した場合に、危険なので、別の信託銀行に分別管理しています。また、販売はしますが、それは仲介的な役割です)
そのため、厳密には日本国内では、外資系であっても、プライベートバンク(銀行)を名乗ることはできません。
ですが、その一部の業務を切り取って、サービスとして行うことができます。
それは、プライベート・バンキングと呼ばれます。
銀行ではなく、銀行の一部のサービスとして行うのですね。
この形態ですと、UFJ銀行や、みずほ銀行などで実際に行っているところもあります。
日本国内のプライベートバンキングの主な行為は、資産管理?
筆者はプライベートバンキングでお仕事をしたことがないので、以下は伝聞と推測です。
日本国内でのプライベートバンキングのお仕事内容の一つには、資産運用の管理が挙げられるようです。
例えば、金融資産の組み合わせ(ポートフォリオといいます)。
どうも富裕層向けに提案、管理をしてくれるようです。
日本国内でのプライベートバンク・バンキングを語った詐欺やウソの投資話にご注意
中にはもしかしたら、銀行などの認可を受けていない詐欺的なものもあるかもしれません。くれぐれもうまい話にはご注意ください。
一例として、「脱税・節税ができる」とか「元本保証で高利回り」などの文言があれば、大いに疑ってかかると良いかと思います。
詐欺を見分けるときの一つのポイントとしては、以下のようなことです。
- ローリスクでハイリターン→そんなものは存在しない
- 元本保証で大きく増える→そんなものは存在しない
- 数年間解約できないけど、一口●万円でたくさん買うと、利回りが上がる→そんなものは存在しない
- お友達を勧誘すればするほど、利回りが上がる→そんなものは存在しない
筆者はつみたてニーサやiDeCoといった、金融庁さんや厚生労働省での制度が多くの投資家にとっては最適な節税口座だと考えています。
スイスのプライベートバンクのメリットは?
海外のプライベートバンクの場合、従来は、税務当局の調査が及ばない聖域的な扱いを受けていたようです。
ですが、近年では、情報開示を迫られることが多く、
その優位性は失われつつあるようです。
もちろん銀行ですから、違法行為などには加担しませんし、できないはずです。
また、富裕層にとっては、コストが気にならないほどの巨額であれば、
一元管理を委託できるプライベートバンクはメリットがあるのかもしれません。
プライベートバンクに預ければ、課税されない?
ウイキペディアによりますと、その答えは、ノーです。
つまり、課税されます。
プライベートバンクは、銀行ですから、違法な行為は一切行いません(とされています)。
また、高度な節税のアドバイスもしません。
日本国内での税金に対する合法的な節税アドバイスなどは、公認会計士や税理士さんなどが相談にのってくれます。
(※裏ルートを探す必要はありません。
うまい話を探していると、変なところに引っかかりやすいのでご注意ください。)
プライベートバンクで運用すると、儲かる? デメリットは?
コストがかかる。
これがデメリットです。
運用はどこで行っても、基本的に本質的な成果は変わりません。
※未経験者・初心者の方には分かりにくいかもしれませんが、
普通の個人でも、プロと同じような運用ができますし、
プロでも大差をつけることはできません。
(効率的市場仮説に基づく場合)
もしプロの運用で変わるのなら、年金機構などの公的な制度がとっくに行っているでしょう。
そしてあっという間に、年金問題が改善されているはずです。
(プロの運用により、年金が素晴らしく手厚くなるはず、ですが、そうならないのが現実です)
ちなみに年金機構さんの運用成績は、年率換算でおよそ3%程度です。
ほったらかし運用(複利運用)の場合24年間程度で元本が二倍になる速度感です。
これは、組み合わせ(ポートフォリオ)が、国内外の株式・債券半分ずつでの割合です。
もしも、運用を誰かに任せることで変わることがあるとするならば、
他者に任せて、コストがかかった分だけ、マイナス効果が働くだけだと考えられます。つまり、知識があって、自分で行うより、ちょっと増える速度が遅くなる。
節税効果を狙うなら、優れた仕組みが他にある
※いずれも税制優遇制度です。
文字通り、税制が優遇されます。
投資の本質やリスクが変化するわけではありません。
※下記表は、2018年1月時点の内容です。今後法改正などで変わる可能性があります。
ニーサ | ジュニアニーサ | つみたてニーサ | イデコ(個人型確定拠出年金) | |
利用できる人 | 日本に住む20歳以上の人 | 日本に住む20歳未満の人 | 日本に住む20歳以上の人 | 60歳未満の国民年金または厚生年金保険の被保険者 |
運用管理者 | 本人 | 親権者等 | 本人 | 本人 |
つみたて時税制 | 所得控除の適用なし | 所得控除の適用なし | 所得控除の適用なし | 全額所得控除 |
運用中の非課税 | 5年間運用益非課税 | 5年間運用益非課税 | 20年間運用益非課税 | 70歳まで運用益非課税 |
払い出し時の税金 | 課税されない | 課税されない | 課税されない | 元本を含めて原則課税(ただし、退職所得控除または公的年金等控除の対象) |
非課税投資枠(年間) | 120万円 | 80万円 | 40万円 | 会社員・自営業者などの属性により、14.4万円~81.6万円 |
非課税累計投資枠 | 600万円 | 400万円 | 800万円 | 上限なし |
投資対象商品 | 上場株式(ETF/REIT含む)投資信託 | 上場株式(ETF/REIT含む)投資信託 | 金融庁指定の投資信託・ETF | 定期預金・保険・投資信託 |
新規に投資できる期間 | 2014年から2013年 | 2016年から2023年 | 2018年から2037年 | いつでも |
投資方法 | 一括買い付け・つみたて | 一括買い付け・つみたて | つみたて | つみたて |
損益通算・繰り越し控除 | できない | できない | できない | できない |
資産の引き出し | いつでも引き出せる | 18歳まで引き出せない | いつでも引き出せる | 原則60歳まで引き出せない |
スイッチング・分配金再投資の扱い | 新規の購入とみなされ、非課税枠を消化 | 新規の購入とみなされ、非課税枠を消化 | 新規の購入とみなされ、非課税枠を消化 | 制限なし |
口座開設手数料・口座管理手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 口座開設手数料2777円(税込み)
口座管理手数料2004円~7000円程度(金融機関による) |
最低拠出額 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 月5000円から |
金融機関の変更 | 年単位で可能 | できない | 年単位で可能 | いつでも可能 |
ほかの制度との併用制限 | つみたてニーサとの併用は不可 | 制限なし | ニーサとの併用不可 | 制限なし |
このように、国内で十分に非課税制度が整備されています。
まとまった投資には不向きですが、積み立て投資なら、十分です。
会社員などで、毎月ある程度の余裕資金が生まれる人は、積み立て貯金以外に、iDeCoやつみたてニーサといった税制優遇制度で投資をすることが、プライベートバンキングを利用するよりも大きな効果が見込めます。
※ここでの大きな効果とは、節税面と、低コスト面での有利さです。
※イデコ・つみたてニーサ、そしてプライベートバンキングでも、どこで投資をしても、投資対象が同様の場合、同じように増減します。違いがあるとすれば、マイナス面に作用する、税金面、コスト面です。
積立なら、確定拠出年金の方が有利?
特に、確定拠出型年金の制度では、所得税も控除されるので、
非課税(正確には課税の繰り延べ)だけでなく、
(見方を変えれば)お金(所得税)が還付されるので、
プライベートバンクよりも(同額を積み立てた場合は)実質的に有利だと思われます。
超お金持ちなら、積み立て投資より、プライベートバンク向き?
本物のプライベートバンクである場合は、預かり資産額が1億円~ですとか、10億円~となっているケースも、ネット上では散見されます。
本当かどうかは不明ですが。
このような方は、プライベートバンクを一考する価値は、
もしかしたらあるのかもしれません。
※仮に毎月2万円を積み立てたとしても、
10億円の資産を投資し終わるまでに、5万カ月かかります。
年数にすると、4166年かかる計算ですね。
このような方には、積み立て投資は効率が悪い(悪すぎる)と
考えることができるのではないでしょうか。
まとまった資金がある人は、一括投資という選択肢を考慮する必要が十分にあります。
ただ、筆者個人の意見としては、数億円程度の資産であるならば、自分で管理・運用したほうがコスト分、運用成績が向上すると思います。
ちなみにいわゆるお金の専門家の富裕層がいた場合、その人たちは「決してプライベートバンキングを利用しないだろう」と思います。
自分でやった方が、有利だからですね。
まあ、本当のお金持ちの人はそこまで気にしないのかもしれませんし、「その時間と手間をお金で買うのだ。そして他のことを自分はやるのだ。人生は楽しまなくては損だ」という考え方もまた良いものではないかと思います。
何かうまい話があったら要注意?
プライベートバンクや
プライベートバンキングに勧誘されたとしても、
その加入には、上記のような注意点がありますので、
それを理解・納得した上で行うことが肝要です。
また、話は変わりますが、
世の中で、うまい話があったら、要注意です。
「これを買えば儲かる」
「この売買プログラムを買えば儲かる」
などの勧誘・斡旋を受けた場合、常に疑ってかかることが重要です。
その理由は、経済学的に考えますと、
現実に、儲かる方法・モノがあった場合、原則的に、相手はそれを他人に開示しないはずだからです。
これにはもちろん、理由があります。
他者に開示をしますと、他者がまねをします。
すると、開示した人が不利益を被ります(損をしたり、利益が減る)。
経済的に考えますと、人は損をとても嫌います。
ですから、そんなことはしないはずなのです。
そのため、高いお金を出して、買った「何か」が役に立たないことは、
多くの場合、あり得るかもしれません。
うまい話には、くれぐれもご注意ください。
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